ブレイク界は既にレッドオーシャンで血にまみれている

一昔前ならばキッズ、b-girlウインドミルやヘッドスピン、軟体ムーブをしていれば持て囃される時代がありました。

 

それが現在では大人顔負け、男顔負けのパワームーブやスタイルをやるキッズ、b-girlが次々と誕生しています。

 

bboy界は常に進化し続けており、一瞬でも気を抜けば何万光年もライバルから差を付けられる弱肉強食の世界であり非常にシビアなものです。

まさに血で血を洗うレッドオーシャンであり、そうした日進月歩に遅れるとローカルbboyとして細々と続けるか、引退を余儀なくされます。

そんな中でも、b-girlやキッズはそこそこ出来ていれば評価されていたブルーオーシャンな時代がありましたが、現在ではbboy界以上の血みどろの世界になっています。

舐めてかかるとボコボコにされます。

 

とは言っても、b-girlに限定すると実はまだまだ新規参入の余地は十分に残しており、例えば、男ばりのトーマスフレアー、Aトラ、エアチェアムーブ、高速ムーブなどですね。

上記のものはほとんど見たことがありません。

身体上、骨格上、筋肉量の問題でそもそも出来ないものなのか、はたまた既成概念をぶち破るようなスーパーb-girlが現れるのか。

 

キッズ界においてはレッドオーシャンぶりに拍車がかかっており、スーパーキッズ達が量産されている現状があります。

そこから読み取れることとしては、優秀な指導者とブレイクエリートの存在です。

日本が世界のbboy達に手も足も出なかった時代はとうに過ぎ去り、メソッドやシステムを確立した優秀な指導者達が日々ブレイクエリートを育成し輩出しています。

こんな日が来るなんて一体誰が考えたでしょうか。

非常に素晴らしく喜ばしいことで、諸手を挙げるしかないと言った状況ですが、その裏では後発組の虚無感を誘うきらいがあるのではないでしょうか。

bboyingが誕生してからの数十年間で繰り返された幾多もの試行錯誤により、削ぎ落されるものは削ぎ落され、淘汰されるべきものは淘汰され、youtubeによりbboyの理想像について全世界的な共通認識が出来上がっている中で、現代bboyingは鋭敏なまでにブラッシュアップされています。

技の難易度・最後までフリーズを決めきる体力・他人と被らない発想力・膨大な練習量に裏打ちされた正確な再現性・フレイヴァーやリズムの体得・音楽の聞き込み、などなどやることが多すぎていくら時間があっても足りません。

世界に打って出るためには、数あるプロスポーツのように幼少期から過酷な修練を積まないといけない状況が出来上がっています。

世界を狙うならば、現在では中学生から始めても厳しいのではないかと思います。

よほどの才能、練習量をこなさないと先発のブレイクエリート達との差が埋まらないのです。

異常に専門性が高くなり、競技として真剣に取り組む場合、開始時期が直接ステータスに響いてきます。

以前と比べて門戸は広く開放されているにも関わらず、底なしの奥深さのために挫折を余儀なくされるbboyが今後はさらに増えていくのではと。

 

現状、過酷さとは裏腹に自己満足の追及で留まっているブレイク界において、習い事としてbboyingをキッズにさせることで将来どういったメリットがあるのか、という部分も十分吟味する必要があり、taisuke、isseiといったスターbboyが10年後にどういった立ち位置を確保しているのか、といった点は非常に興味深いところではないでしょうか。

また、 右を見ても左を見ても血みどろであれば必ずまだ掘り起こされていないブルーオーシャンを発掘する人間が出てきます。それはともすればzuluのようにムーブの難易度のみに捕らわれない価値観の提示・創出のように、カルチャー由来なのか、ビジネス由来なのか、それともまったく違う観点からのものなのかはわかりませんが、これまでの歴史上起こりうる可能性は高く、レッドオーシャンが故に発生する楽しみの1つとも言えるでしょう。