BOTYのルーティン合戦

 BOTYで日本が2連覇、と一昔前なら考えられないような快挙です。

 

 しかし今に始まったことではありませんが、近年のBOTYと言えばルーティン合戦、SHOWの見せ合いと揶揄されるほどにソロでのぶつかり合いがまったくありません。

 

 そこは賛否両論なのではありますが、BOTYは開催当初より頑なにSHOWを主体としたイベント構成を崩しておらず、バトルがルーティン合戦になるのはBOTY主催側が意図した狙いを汲んでいるとも取れるため、ある意味自然な流れと言えます。

 

 しかし、BBOYING、並びにバトルに対する考え方は人それぞれなため、そうしたルーティンやSHOW偏重にアレルギー反応を起こすBBOYも相当数おり、批判の的となりやすいのも事実です。時代の変遷とともに増加するBBOY人口に比例するかのように世界的なイベントが乱立したことによって、一時期に比べてBOTYへの憧憬とも言うべき意識はかなり薄らいでいるのはないでしょうか。

 まぁそれでも世界的規模でのSHOW主体のイベント自体は非常に少なく貴重ではありますし、その歴史を考えてもイベントとしての格はやはり他の追随を許さないとも言えます。

 

 BBOYのSHOWが好きな方からするとまさに年に一度のBBOYの祭典と言って差支え無いでしょう。

 驚くほど完成度が高く感動的なSHOWがある一方で、BBOYにありがちなやっつけ感満載のSHOWまで、イベント内の温度差はなかなかどうして、、、と思うこともありますがまぁそのへんはご愛敬といったところで(笑

 

 これだけイベントが乱立しているご時世なので、思い切ってSHOWのみのコンテストに振り切ってしまうのも1つかと思いますが、やはり伝統のあるイベントですしバトルの無いBBOYイベントは画竜点睛を欠くに等しく消化不良になってしまうため難しいのかなと。

 

 いずれにしても今後も程度の差はあれ、BOTYが神格化され続けていくことに変わりはないでしょう。 

bboyにとってのオリジナルとは

 Youtubeで日々アップロードされているイベント動画を見るとオリジナルムーブに溢れており、まだまだbboyingには大きな可能性が潜んでいるんだなと胸を打たれる一方で、さて、周囲に目を向けてみるといやいや、、、それは思い違いか、、とうなだれた経験はないだろうか?

 

「オリジナルって何それ?食べられるの?」

 

と言わんばかりに動きから服装から丸パクリのbboyである。

 

開き直っているのか、バレていないと思っているのかは定かではないがもう丸まんまそのままというパクリを越えて劣化コピーになっているbboy達が一定数存在する。

 

「あのbboyに影響受けてるんだな~」

 

というのはほぼ100%伝わるもので、程度も様々ではあるが、例えばトップロックやフットワークなど一部にそのエッセンスを混ぜ込んでいるものから前述の完全コピーを目指している者など影響の表れ方は多岐にわたる。

 

影響を受けること自体は悪いことではなく、むしろ個人、集団、文化全体のブラッシュアップには欠かせないもので非常に重要なものである。

 

しかし、影響というのはあくまで自分というオリジナルな存在がある中に波紋を広げるための一滴であるに過ぎない。

 

そうした始まりの一滴が、気が付くと自分の全てを満たす状態になっていることが問題なのである。

 

パクリ、コピーは非常に魅力的でプライドの無い人間はつい流されがちになる。

 

自分で考える必要が無く、かつ価値のあるものが短時間で自分のものになるからだ。

 

バイトやコピーが嫌われる原因がそこにある。

 

自分で考えたくないという怠惰、すぐに真似をしてしまう気概の無さ、そして自分というオリジナルの可能性を排除してしまうプライドの無さ、そうしたものがコピーやバイトをすることによって透けて見えてしまいbboyがbboyたる由縁を自ら冒涜しているからである。

bboyとしての精神性を疑われるような行いであるがゆえに蔑まれる対象となるのである。

 

ネクストステップへの足がかりとしてコピーをするならば、それは練習だけに留め本番では絶対に使わないことだ。

 

そうすることでbboyとしての品格は保たれる。

 

だが、誘惑に負けコピーをし始めたらもう止まらないだろう。

 

いずれファッションbboyという不名誉な烙印を押されることになる。

 

 

と言うのは判断基準が明確に定まってない以上言い過ぎかもしれないが、1つ自分のストッパーとして常に頭の片隅に置いておくことはbboyでい続けるために重要かつ有効なことかもしれない。

ないものねだりのbboy~身長~

パワーは凄いけどスタイルはからっきしだなぁ、、、

 

スタイルはかっこいいけどパワーもスキルも何もできねぇな、、、

 

スタイルは凄いけど1ミリも音聞いてないな、、、

 

光が強いほど影が濃くなると言わんばかりに、やはり武器が強力であればあるほど他の要素の粗に目がいってしまいがちです。

オールマイティを求められる現代が故の問題ですね。

 

これが例えば100m走だとしたら、走り方がおかしかろうとかっこ悪かろうと結果的にタイムが一番速ければ、誰も文句は言いません。

言う人もいるかもしれませんがw

 

極端な例ではありましたが、bboyingという誕生してからまだ日の浅い文化は、スポーツのようにただ単純にタイムやスピードや記録を求めるものではなくなり(そうした側面が一切無いとも言えませんが)昨今においては急速に多様性が認知された上でそれぞれ万遍無く完成度を高めることを求められている、というのが現状でしょうか。

 

そうした無い物ねだりをしていく中で、努力だけではいかんともしがたいものがあります。

 

身長・体格、です。

 

肉体芸術であるため、どうしても無視できない要素かと思います。

かつ、かっこよく見せるために、重要な要素とも言えるでしょう。

 

身長が高くて体格が良ければ同じ動きをしていても迫力やかっこ良さがまるで違ってきます。

 

とは言ってもさして高身長が多く無く門戸を広く開放しているbboy界ですから、そこは卓越したスキルで十分に身長・体格差を圧倒できるという逆説的なジャンルでもあります。

 

歴代の有名パワームーバーを紐解いていけばかなりのチビっ子率。

 

だからと言ってみんながみんな驚異的なパワームーバーになれるわけでもなく、身長・体格、あるいはバランスの良いスタイルをしているという点は踊る上で強みになります。

 

身長が低い、頭がでかい、ぽっちゃりしている、ずんぐりむっくり、異様に痩せてる等の身体的特徴は踊りに影響するもので、さらに裾野を広げるとファッション的な要素についても同じことが言えます。

髪型が変、服がダサイ、靴がボロボロで汚い、などなど、、、

 

何が言いたいかと言うと、あまりかっこいい体をしてない人はファッションでなんとか誤魔化す方向に持っていかないといけないわけですが、まんま練習着で本番に臨む人もいたりするのでそれはもったいないなぁ、というお話でした。

BBOYの練習時間について

あなたは一日何時間練習しているでしょうか?

 

例えば純粋に練習している時間を2時間としてみましょう。

 

さらに附随するその他諸々についてざっくりと平均を想定して数字を出してみます。

 

 

練習用具等(服・音源・練習内容etc)の準備 ~ 30分 

 

練習場所までの往復 ~ 1時間弱

 

練習中の休憩 ~ (合計で)30分

 

少なく見積もっている部分もありますがこれだけで4時間必要です。

 

さらに

 

練習後の食事・飲み会・遊び・ドライブ ~ 2時間

 

ショーの練習 ~ 2時間

 

などがあると必要な時間が8時間ほどに跳ね上がり、1日の1/3を使用することになります。

 

さらに向上心を持っているbboyならさらに

 

動画チェック ~ 1時間 

 

柔軟・筋トレ ~ 1時間

 

服や靴のチェック ~ 1時間

 

これで11時間となります。

 

遊びやショーの練習はいつもあるわけでは無いので除外して考えても、上手くなるためには1日で9時間近くはbboyingに費やす必要があります。

 

これを1週間続けると63時間、1か月続けると270時間、1年続けると3285時間となります。

1年間は8760時間あり、1/3以上を費やすことになります。

 

またイベントが月に何回かあることを考えると1日がそれで潰れることもあります。

 

恐ろしいですね。

 

他の事やった方がいんじゃないの?と思えるくらいの時間量。

 

その瞬間瞬間は無尽蔵に時間があるように思えますが、あっとゆー間に肉体的・精神的なピークを迎えます。

時間管理を大切に行わなければいけないな、というお話でした。

軟体やストロングはなぜニッチなのか?

お題目の通り、軟体、ストロング、あるいは一点突破系のスタイルは現代bboy界において非常に希少種です。

というかマイナーかつニッチなカテゴリーです。

 

例えばまったくの素人が

ブレイクダンスを始めよう!

となった時にいきなり軟体やストロングから始める人は100人いたら1人くらいでしょう笑

 

ブレイクダンスに興味が無い人にマニアックな軟体やストロングを見せても、「凄いけどよくわかんない、、、」となること請け合いな悲しいジャンルなわけです。

 

なぜマイナーなのかと言うと

 

①そもそもの基礎のハードルが異様に高い

軟体はかなり体を柔らかくする必要がありますし、場合によっては骨格上不可能な動きも出てきます。軟体で人に見せることができ、バトルで勝てるレベルまで持っていくためには過酷かつ長時間の柔軟をこなす必要があります。ここでまず大多数が脱落します。

ストロングにおいても、まず体を支えるところから始まるため、筋力・柔軟性が必須で、かつ人に見せることのできるレベルまで持っていくためには重力無視の段階までスキルを引き上げる必要があります。終わりの見えない自重トレーニングに嫌気が差しここでも大多数が脱落します。

 

②スタイルの完成に時間がかかる

上記①と被りますが、基礎に異様に時間がかかるため、そこからさらにクリアーなムーブを完成させるまでにさらに時間がかかります。

基本的には誤魔化しが一切通用しません。

 

③バトルで勝ちづらい

こうしたジャンルはよほど洗練されていないとバトルで勝ち上がることができません。

中途半端な軟体・ストロングは雑に見えてしまうことが多く、判断に困ることが多々あります。

 

④音楽性の欠如

難易度の高さからルーティンムーブに陥ることがほとんどで、どんな音楽がかかろうと一度動き出すと既定通りの動きに収まってしまいアドリブはほとんど不可能、かつムーブの難度が上がれば上がるほどその傾向が顕著です。

 

⑤流行からの乖離

メインストリームで活躍している大多数のbboyが軟体・ストロングをメインスタイルとして採用していないことからもニッチ分野に拍車をかけています。

 

他にも理由は多々あるかと思いますがとりあえず思いつくものでこんな感じかなと。

 

労力の割に得る実が少ない、というのが最たる理由かと思います。

 

翻って一点突破系、例えばヘッドスピンしかやらない、縦しかやらない、エアチェアしかやらない、と1つの技に固執、あるいは1つの技を軸としたムーブしかやらない、と言った場合は似て非なる理由があるのかなと。

 

①個人のモチベーション

特化した得意技が出来てしまうと他の技を練習するモチベーションが極端に下がりますw

技の習得自体かなり時間がかかるものなのでなかなか先が見えない新技よりも得意技を磨き続ける方が楽だからです。

 

②バトルで勝てない

これは同じですね。オールマイティーの時代のため、昔のように特化型ではなかなか勝ち進むのは難しいというのが現実です。

また、同じことしかしないため早々に飽きられることも理由かと。

 

③一発芸枠への忌避

チームバトルでの一発芸枠としての立ち位置しかないため、こうした考えが否定される流れが強まっているせいもあるかと思います。

 

④本人が一番葛藤する

これだけは誰にも負けない!というプライドの裏では、でもこれしかできない、、、という不安に駆られ、今更他の事をやっても、、、という諦観もあり自縄自縛の状態に陥いります。

 

と、思いつくだけでこんな感じで軟体・ストロング勢とは微妙に毛色が違っているかと思います。

 

いずれにしても現在のメジャースタイルがオールマイティーであるため、こうした栄枯盛衰の流れは致し方無いのかなと思いつつ、若干の寂しさを感じますね。

一般人から見たbboy

夜中にたむろして大音量で音楽をかけて踊ってて柄が悪い

 

頭で回る

 

岡村隆史

 

くらいでしょうか?笑

 

 

bboyが思っている以上に世の中のほとんどの人はブレイクダンスに興味がありません。

 

ともすればbboy自身もそう思っている節があります。

 

ニッチな趣味だしね~

 

と。

 

そしてbboy自身がプレイヤー気質の人間が多いため積極的に世間に向けてブレイクダンスを広報するというようなこともありません。

 

どのアンダーグラウンドカルチャーもそうですが好きな奴が好きな時に集まればいい、と内輪だけにこもりがちです。

 

着実に人口は増えていはいるもののなかなかメジャーなカルチャーとして躍り出てはきません。

 

それこそ世界大会で優勝しても全国ニュースで出ることはほぼありません。

 

そして一般の人は有名なブレイクダンサーの名前を誰一人として知りません。

 

テレビでブレイクダンスを扱っている期間はいいでしょうが、特集が終われば砂塵のごとし、記憶にありません。

 

そんな状況なのでスタイルムーブでもしようものなら、「?????」としかなりません。

よほどインパクトのあるスタイルなら別ですが、ブレイクダンス見せてよ!と言われてフットワークしたところで「いや回ってよ」とけんもほろろなわけです。

 

トップロックに命を懸けてるようなbboyですと見てる方も

「?????????いつ回るの???????」とさらに謎を深めるだけの結果に終わります。

 

音がどうとかステップがどうとか言われてもわかりません。

 

この人回れないんだ、しょぼーと思われて終了です。

 

「テレビとかyoutubeでやってる手だけで回る奴やってよ!」

と言われてハンドグライドをやろうものなら

「す、すごいね(思ってたのと違う、、、しょぼー)」

と思われて終了します。

彼らが言っているのはエアートラックスです。

そんな誰もかれもができる技でも無いですし一昔前だと一般人は見る機会もありませんでしたが、今や猫も杓子もインターネットということで誰でもえげつないエアーを見ることができます。

「エアーはできないんだ、、、」

と言おうものなら

「そうなんだ、、、(しょぼー)」

と思われて終了します。

 

仮にエアーができたとしてもエアーを見てる一般層はかなり完成度の高いエアーを見ています。

「なんか動画で見たのと違う、、、(しょぼー)」

と思われてやはり終了します。

 

とにかくbboyの価値観というものは一般社会とかなりの隔絶があり、これはbboy有史以来あまり埋まらず今日に至っています。

 

そもそもbboy同士の溝もなかなかに深く、すっぱいブドウ状態です。

 

フレイヴァーとか音取りとかよくわからん。

 

パワームーブしかしないなんて踊りじゃない、サーカスだ。

 

妙なスタイルで意味がわからん。

 

何の面白みも無い基本的な動きばっかり、、、渋いってよくわからん。

 

など自分ができないこと、理解できないことはすぐにネガティブに捉える傾向にあります。

口にしなくても思いっきり心の中で思っていますw

 

まぁこの統一的な見解が出ずすべてにおいて賛否両論な部分がbboyをbboyたらしめ、最も面白いところなのかもしれませんね!(無理矢理)

bboyであることで一般社会から享受できるメリットとは?

タイトルの通りです。

 

bboyであることで一般社会から享受できるメリットは何かありますか?

 

 

。。

 

。。。

 

。。。。

 

どうでしょうか?

 

何かありましたか?

 

勘違いしてほしくないのはこれはbboyの価値を損ね、蔑むための問いではありません。

 

冷静な視点で客観的に自己分析するためのものです。

 

もちろん他の趣味にも同じことが言えます。

 

bboyが特別なわけではありません。

 

この問いを受けて、くだらねぇー!そんなことは関係ない!と思う方もいるでしょうし、改めて熟考することでさらに過熱する方、待てよ、、と立ち止まる方、様々な思惑が生じるでしょう。

 

もう練習していない人。

 

練習はしてるけど現状維持が続いている人。

 

日々進化を止めないために過酷な練習に打ち込んでいる人。

 

bboyにも様々な形があります。

 

そうした中でいかにこの問いを受け止め、どういった答えを出すか、というのもまた1つ興味深いのではないでしょうか。