一点突破主義に対する考察

技の洪水とも言うべき現代BBOY界において、ある1つの技にだけ固執するスタイルというのは珍しくなってきており、また勇気や覚悟がいることでもあります。

 

一点突破主義

 

例として代表的なもので言えば、ヘッドスピン、縦、でしょうか。

 

一般層がイメージするブレイクダンスと言えばヘッドスピンやステッピンと言っても過言ではないほどそのインパクトは強烈です。

 

実際の難易度はともかくとして、初見時の「これはすぐにはできないな」という超人性が明らかだからです。

 

ただ一般層のそれと実際のシーンにおける価値観には大きな乖離が存在し、パワーガチ勢からするとヘッドは単なる繋ぎの1つであり「休憩」の概念が大きいというのが正直なところですし、縦については歴を重ねれば重ねるほどその拡張性や応用性の乏しさから敬遠される向きがあります。

 

始めたての中学生が憧れるようなミーハー感が漂うところも若干気恥ずかしく、また極めれば極めるほど音楽性から離れ競技性が色濃くなるところもまた敬遠される要因の1つではないでしょうか。

音を聞いてない、と言うと必ず反論が発生するのですが、単にカウントで漕いだり跳ねたり音ハメしたりすることが音楽性なわけではないことも話を難しくしています。

 

ソロバトルでも勝ち上がることが難しく、チームバトルでも飛び道具的な使い方しかされず、スピン・ホップに依存しているが故の表現力の乏しさからくる単調性、また、両者についてはスキル的には既に頭打ちになっている感があり、革新的な派生を生みだすBBOYが現れない限り斜陽の立ち位置は変わらないと考えています。

 

とまぁここまでBBOY界においてはデメリット満載である旨記述しましたが、エンターテイメントとしてはかなり重要な立ち位置にあります。

 

一般層に向けたPRとして、ヘッドスピンや縦ほど衝撃的なものはありません。

 

はっきり言って、一般層に対してフットワークやスレッドや軟体、ストロングをしたところでいまいちよくわからない、というのが実際のところで、これらはあくまでBBOY界におけるイノベーションが故に局地的に価値を持っているに過ぎません。

 

一般層がイメージしているブレイクダンスをそのまま提供できることは商業的に非常に重要です。

 

凄いものを見たい、という欲求に対してこれ以上ないほどにダイレクトに対応してるわけですから文句のつけようがありません。

 

BBOYの世界で成功することは難しいかもしれないが、ショービジネスの世界では成功する可能性が通常のBBOYより高いのでは、と考えています。

 

どちらが良いのか、というのは個々人の価値観の問題なので決めることはできませんが、社会的な認知という部分においては実は一点突破主義の方が有利なのかもしれません。