ブレイクビーターズを見た感想

結論から言えば求めていたものと違い眠くなってしまいました、、、。

 

可能な限り史実に基づいた当時の東ドイツのbboyシーン、そしてbboyのかっこよさ・本質が描写されていることを期待していましたが、、、。

 

この映画は葛藤と妥協が連続しています。

 

自由に自己表現をしたいけど社会主義のためにできない

 

成功するために信念を曲げないといけない

 

家族を守るために信念を曲げないといけない

 

好きなことを続けるためには信念を曲げないといけない

 

映画の本筋とは関係ない部分にも葛藤と妥協を窺い知ることができます。

 

当時の東ドイツでは存在しないであろうステッピンやエアー等の高難度のムーブが織り込まれており、bboyからすると違和感を覚えてしまう場面ではありますが、派手な技を入れてデフォルメした方が一般受けがいいとの判断なのでしょう。

ここでも史実に忠実にすべきか、それとも広く一般受けを狙うか、という葛藤と妥協を見ることができます。

bboy視点からすると、ネットで腐るほどムーブを見ることができる現代ですからあえて映画でエアーを見たいとも思いませんし、可能な限り当時のbboyシーンに沿った史実通りのムーブを見たかったわけで、現代のムーブが出てきた時点で興醒めしてしまい、その後の展開についてもフィクションを強く感じてしまい没入感を得ることはできませんでした。

bboyサイドが臨む要素は切り捨ててしまった感が否めません。

 

あくまでブレイクダンスを手段とした体制への反抗を描いており、ブレイクダンスそのものにスポットライトを当てているわけではないと感じました。

おそらく、当時の東ドイツの状況であればあらゆる資本主義的なものが題材として本作に流用可能でしょう。

ブレイクダンスじゃなくてもよかったんじゃない?というのが見終わって得た感想です。

 

また、全編を通してブレイクダンスってかっこいい!やってみたい!となるような場面がありませんでした。経験者フィルターを通してという部分もあるかもしれませんが、、、。

特にラスト付近にテレビ出演するんですが、なぜそこまでダサい方向に振り切ってしまったのか、、、という演出が不思議でなりません。

最終的にカタルシスを得るような構造になっていなくもないのですが、bboyが見る分にはなかなかきついものがあるのかなと。

繰り返し見ることのできない映画のワンシーンに触発され、それが合っているのか間違っているのかもわからない手探りの中で、社会主義的な色付けをされればダサいものになるのは必然であり、資料的な意味合いとしてはごく自然な流れとして特段違和感を覚えることではありませんが、当時の状況以前の問題として全体的にダサい味付けがなされている、という点に疑問符が付くというところでしょうか。

おそらく本作を見た一般客も、ブレイクダンスってなんかダサいね、、、という印象に終始してしまうのではないでしょうか。

 

映画としての面白みもいかんせん薄く、bboy視点からは消化不良になるような内容ではありましたが、資料的には意味があるので時間があれば見る価値はあるかと思います。