ダンサーは金にならない。ブレイクダンサーはもっと金にならない。

とにかくダンサーは金にならない。

 

ブレイクダンサーはさらに金にならない。

 

金にならないから虚業に身を落とす者もいる。

 

ダンスに時間を割けば割くほど、優先事項が後回しになり、先細り、人生に窮することになる。

 

 

ダンスの上手さと時間配分はそのまま比例関係にあり、上手くなろうとすれば睡眠時間を削ってでも練習する必要がある。

 

睡眠を削って練習するくらいなので、ダンス以外のことは二の次、三の次だ。

 

しかし、ダンス以外を全て諦めて邁進した先に何があるのか。

 

ブレイクダンスに限った話で言えば、歳を重ねれば重ねるほど劣化の一途を辿る。

 

20代も後半に差し掛かれば現状維持が出来ていればいい方で、基本的には劣化していくのみだ。

身体、モチベーション、時間、社会的責任等から、革新的な進歩はもう望めない。

さらに言ってしまえば、もう自分のスタイルを変えることができない。

温ま湯に脳味噌が慣れきってしまい、自分の出来る範疇での小さな足踏みのみだ。

 

「これが俺のスタイルだ」

 

という言葉は、bboyのポリシーでもありながら、免罪符にもなりうるマジックワードで、耳触りも良く、自分が傷つかないように、自分や周囲を騙すにはもってこいだ。

 

イノベーションやオリジナルを求め現在進行形で進化しているbboyにとってみれば信念であり、進歩せず惰性で毎度同じようなことの繰り返しでマンネリ劣化しているbboyにとってみれば開き直りである。

 

生涯bboyを掲げていたとして、40になった頃には、ピーク時のキレも無く、青春時代に流行っていた古臭いスタイルを披露するのが関の山だろう。

日進月歩でエスカレートしていくフィジカル重視のbboyの世界では、加齢による円熟味、というのはなかなか実現しづらい。

リップサービスで円熟味をほのめかされるかもしれないが、額面通り受け取るバカもいないだろう。

 

プレイヤーとしてbboyを続けることが困難になっていき、金にならない現実がある中で、やはり利権の創出というのはbboy界において最重要課題である。

アンダーグラウンド特有の承認欲求等の自己実現に係る利権に留まらず、金銭が発生するような整備である。

 

おそらく現在進行形かとは思うが、協会による会費の徴収、検定の必要性を強化する等、様々な名目を創出することで金銭の発生を促す。

bboyが職業として成立するならば、己の権利を脅かすようなバイトは言語道断であり、ムーブの著作権にすら言及してもいいのではと思わされるがそれはいささか行き過ぎか。

 

アンダーグラウンドhiphopでピースでシェアで、という精神がbboyの経済的進歩を阻害しているような印象があるので、強烈な非難を浴びるくらいに構造改革を行うというのも現状を打破する1つの方法なのではないかと。