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break danceをオリンピック種目にする必要はない

オリンピックとブレイクダンスはそもそも相性が悪いのではないか。

 

ストリートカルチャーから発生した競技が共通して内包する反体制的な思想はオリンピックの理念とは程遠い。

 

スノーボードがオリンピック種目になった際にもある種の違和感がどうしても拭えなかった。

他の競技ではおよそ目にすることの無いタイプの選手達であり、ありていに言えばオリンピックっぽくないのだ。

案の定、服装問題から反省会見まで含めて炎上する羽目になった。

それは視聴者がオリンピックにふさわしくない服装・態度に抗議したことに端を発する。

2020年にはスケートボードが新種目として登場するが、プレイヤー層のことを考えると競技以外の場面についての批判が噴出する可能性は高い。

これはスノーボードスケートボードをしている人達を揶揄しているわけではなく、また良い悪いの話でもない。

ただオリンピックらしくないから、という理由だけだ。

お行儀良くしていなければすぐにバッシングの対象となる。

出場選手もオリンピックがどういうものなのかは当然理解しているはずだが、それでもあえてストリートカルチャー性を押し出してしまえば途端に集中砲火を浴びることになるという前例を作ってしまった。

 

オリンピックに出場する選手はオリンピックにふさわしい格式を持っていなければいけない、と視聴者は考えている。

 

オリンピックは、物心が付く前から厳しい練習を休むことなく長年継続してきたスポーツエリート達のための祭典であり、厳格なルールの下で執り行われることになる。

道で見かければ眉をひそめるようなタイプの人間が出てくれば、それだけでオリンピックの格式を下げるといった理由で抗議されることになるのだ。

 

オリンピックは全世界の老若男女、あらゆる人種の人間が視聴する世界的なイベントだ。

 

当然ストリートカルチャーの反骨的な姿勢を好ましく思っていない層もいる。

 

では、そうした中でブレイクダンスが種目になった時にどうなるか?

 

ゴリゴリのタトゥーだらけのbboyはどうするのか?モザイク?出場不可?

出場に際し服装の問題も出てくるだろう。ダサイパツパツのキラキラタイツでも着るのか?

髪型もさっぱり短髪で?

音楽にも制約が出る。不良が聞くような大衆が嫌う音楽はダメかもしれない。

DJはどうなるのか?不謹慎だと思われないだろうか。

競技形式はバトル形式なのか?show方式なのか?バトル中に不謹慎な態度は取ったら大変なことになるかもしれない。

チーム?ソロ?

ブレイクダンスが種目になるなら、他のストリートダンスのジャンル、あるいはバレエ・ジャズ等の方が先に採択されるはずでは?

フィギュアスケートと親和性の高く格式・歴史のあるバレエが、ダンスというカテゴリーにおいてオリンピック種目になるのが先ではないか?

 

などなど疑問が絶えない。

 

そして最大の問題点として、競技の数値化が非常に困難であることが挙げられる。

 

オリンピックがスポーツの祭典であり、スポーツというカテゴリーである以上はっきりとわかる形で優劣を付ける必要がある。

まぁそもそもブレイクダンスはスポーツじゃないから、、、と言うとじゃあ話は終わりじゃん!という身も蓋も無いことになるのだが、あえて続けるとして、、、

 

たとえばR16では採点方式を採用しており、ファンデーション・オリジナリティ・ダイナミック・正確性・戦略という5項目から成っている。

ジャッジによるバイアスを排除するための試みである。(と自分は理解している。)

ただこうなるとスタイラーやパワームーバーは途中で必ず負けることになってしまう。

オールラウンダーとパワームーブやスキルをまったくしないフットワーク主体のbboyが

バトルをした時に、全体の流れで後者が勝っていると判断しても結果的に前者が得点を取りやすいシステムのため、矛盾した結果が出る可能性がある。

素人目線で考えれば得点で勝っているんだからそれでいいんじゃないの?となるが、bboyの現場では得点だけでは推し量れないものがあり、それはダンスに共通したメリットでもありデメリットでもある。

フレイヴァーやキャラクター、エッセンス、遊びの部分をどう解釈したら良いのか、という問題もあり、また異なる意味でのバイアスが発生する可能性がある。

 

また、仮にオリンピック種目にするならば上記の採点5項目では曖昧すぎる。

ファンデーションはどの技を意味するのか、試技中に何回行うのか、技ごとの点数設定はどうなるのか。

オリジナリティは、何をもってオリジナリティと判断するのか、オリジナリティの判断基準の明確化、ジャッジが知らないだけで実はバイトの場合はどうしたらいいのか。

ダイナミックの基準も曖昧だ。

正確性や戦略は比較的競技に馴染むので特段記すことは無いが、、、。

 

こうした数値化を困難にしているのがbboyの特殊性にあると考えられる。

 

たとえば lil Gとcheeritoのバトルを素人が見た時に、果たして同じジャンルのバトルだと理解できるだろうか。

二人とも世界的なbboyであるがスタイルがかけ離れすぎているため、素人目から勝敗の付け方が非常にわかりづらい可能性が高い。

 

例えばマラソンや100m、水泳やハンマー投げなど記録を争う競技は記録が良い者が勝つ。

サッカーやバトミントン、野球などの球技は相手より点を取った者が勝つ。

 

ブレイクダンスはエアーを相手より飛べば勝てるわけでも無く、相手の隙を突いて点を奪うような競技性も無く(厳密に言えば戦略、バトルコミュニケーションとしては存在するが)、ひたすらにジャッジの主観に委ねられることになる。

 

そして他ジャンルと比べてもスタイルの幅が広すぎるために、もはや異種格闘技戦の様相を呈していることがジャッジ、数値化の壁として立ちはだかっているのである。

 

オリンピック種目になってしまえば、点数の取りやすいスタイルしかしなくなるため、オリンピックにありがちな無味乾燥な演技をするbboyが量産されることになる。

 

ブレイクダンスをオリンピック種目にしたいと言っている人達は、もしそれが達成された時にはオリンピックにしたいと思っていたエキサイティングでクールなそれとは異なるものを見せられる可能性が高いことを十分に覚悟しておいた方がいいかもしれない。